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海外の医療現場におけるHIV治療の現状と患者の生活とは?

2018年時点で全世界で3,700万人を超える人がHIV(エイズ)に感染しており、毎年100万人近くの人がエイズが原因で命を落としています。感染経路は性行為や血液で汚染された医療器具の使用などがあり、発展途上国では今でも母子感染を起こすケースが少なくありません。患者・感染者の約7割はアフリカ大陸に住んでおり、性行為が原因で感染しています。中華人民共和国では性行為に加えて、輸血や汚染された医療器具が原因で1,000万人以上の人がHIVに感染しているとみられています。

海外には多くのHIV感染者がいて治療を受けていますが、治療を続けたり患者の生活を支えるための制度やシステムは国ごとに大きく異なります。エイズの発症を防ぐためには毎日欠かさずに高額な治療薬を飲み続ける必要がありますが、患者1人あたりの治療費は日本円に換算すると年間あたり150万円~200万円もかかります。何十年間にわたり治療を続ける必要があるため、トータルの治療費は数千万円になってしまいます。このため、先進国であれば国が治療費の全額または一部を負担して患者の負担を軽くする制度が存在します。

欧米ではHIV患者を支援する制度・体制が進められており、経済的な負担に加えて社会生活を続けられるための支援が実施されています。通院で治療を受ける患者に対して看護師が定期的に家を訪問して健康チェックや服薬指導をしたり、ソーシャルワーカーが患者の就業を支援するケースがあります。先進国では医学的に病気の治療をするだけでなく、感染者に対する偏見を取り除いて社会生活を続けられるための制度が整備されています。

先進国では有効な治療が実施されているので、HIV感染者の平均寿命は健康な人と比較してほとんど変わりません。適切な治療を受けることでHIV感染者も健常者と同じように日常の生活をすることができますが、エイズに対する社会的な偏見を取り除くことが課題になっています。

発展途上国の場合は先進国とは状況が大きく異なり、治療費の補助や患者が社会生活を続けるための制度が整っていない国や地域がたくさんあります。アフリカ諸国には全世界のHIVの7割近くの人が生活していますが、有効な治療を受けることができる患者はほんの一部に過ぎません。アフリカ諸国でも海外からの援助でHIV治療薬を入手して治療が実施されていますが、大半の患者は有効な治療を受けることができずに命を失っています。

中国本土や南米諸国でも、HIV感染者の増加が社会問題になっている国や地域がたくさんあります。これらの国では、高額な薬代がネックになって有効な治療が受けられない人がたくさんいます。発展途上国では患者・感染者に対する治療や生活支援よりも、感染者の拡大を防ぐことに力が入れられています。